植物の写真だけでは、その植物がどのように暮らしているかを十分に残せません。根を下ろす場所、光、水、風、地形、周囲の植物を含めて記録すると、形と環境の関係を考えられます。
この章で学ぶこと
- 生育地を広い環境と微環境に分けること
- 地形、光、水、基質を観察する方法
- 一個体だけでなく集団を見ること
広い景観から近づく
最初に、森林、草地、湿地、海岸、河川敷、市街地など、場所全体の景観を見ます。次に、林縁、樹冠下、斜面、岩場、裸地など、植物がいる位置へ近づきます。
最後に、その個体の根元が落ち葉、砂、岩の割れ目、樹皮などのどこにあるかを見ます。この順序で写真を撮ると、後から位置関係を再現しやすくなります。
光は空の開け方から読む
直射光が当たっている瞬間だけでなく、上空がどの程度開けているか、周囲の木や建物がどの方向にあるかを見ます。落葉樹林では、夏と冬で林床の光が大きく変わります。
斜面の向き、時間帯、季節によっても光環境は変わります。一度の訪問で年間の光を断定せず、変化する条件として記録します。
水の流れと残り方を見る
近くに川や池がなくても、くぼ地、斜面下部、岩の割れ目には水が集まることがあります。反対に、雨が多い地域でも、急斜面や岩上では水がすぐ失われます。
土が湿っているかだけでなく、水がどこから来て、どこへ抜けるかを考えます。苔、落ち葉、地表のひび、流れた跡も手がかりです。
一個体と集団を分けて見る
一株だけが例外的な場所に生えていることがあります。同じ種と思われる個体がどの範囲に、どの密度で現れるかを見ます。幼い個体、成熟株、開花株の分布も確認します。
集団を見ると、その植物が繁殖できている場所と、偶然生き残っている場所の違いを考えられます。ただし、一度の観察だけで結論を出さず、仮説として残します。
観察してみよう
一株を、景観、周囲十メートル、株全体、根元の四段階で撮影します。地形、上空の開け方、水の集まり方、根元の基質、同種らしい個体数を記録してください。
この章のまとめ
- 生育場所は、景観から根元の微環境まで段階的に見る
- 光は、その瞬間だけでなく上空、季節、斜面の向きから考える
- 水分は降水量だけでなく、集まり方と抜け方で変わる
- 一個体の条件と、集団が現れる範囲を分けて観察する