植物は動かないように見えます。しかし、芽を伸ばし、葉の向きを変え、根を分岐させ、季節に応じて成長と休止を切り替えています。植物を理解する第一歩は、完成した形ではなく、変化し続ける過程として見ることです。
この章で学ぶこと
- 植物が周囲から何を得て生きているか
- 光合成と呼吸がそれぞれ何をしているか
- 植物が移動せずに環境へ応答する方法
植物も物質とエネルギーを必要とする
多くの植物は、光のエネルギーを利用し、二酸化炭素と水から糖などの有機物をつくります。これが光合成です。つくられた有機物は、体をつくる材料になり、生命活動に必要なエネルギーのもとにもなります。
光合成だけで植物の生活が完結するわけではありません。植物も呼吸を行い、有機物から利用可能なエネルギーを取り出します。光合成は主に光が当たる器官で行われますが、呼吸は葉、茎、根などの生きた細胞で昼夜を通して行われます。
根から吸収する水や無機養分も必要です。炭素の多くは空気中の二酸化炭素から得ますが、窒素、リン、カリウムなどの元素は主に土壌や培地を通して得ます。「植物の食べ物は肥料である」と考えると、光合成の役割を見失います。肥料は重要な材料の一部ですが、エネルギーそのものではありません。
移動する代わりに、成長する
動物は不都合な場所から移動できます。植物は多くの場合、発芽した場所から離れられません。その代わり、光の方向へ茎や葉を伸ばし、水や養分のある場所へ根を広げます。古い葉を落とし、新しい葉をつくることも、環境への応答です。
植物は、光、重力、水分、温度、接触、昼の長さなどの情報を受け取ります。その応答は、人の目にはゆっくり見えることがあります。毎日同じ時刻に観察したり、数週間の写真を並べたりすると、植物が絶えず変化していることに気づけます。
個体の外にも生活が広がっている
植物は単独で存在しているわけではありません。根の周囲には菌類や細菌などが生息し、葉や花には昆虫や鳥が訪れます。競争する相手もいれば、受粉や種子散布を助ける相手もいます。植物の生活は、体の内側だけでなく、周囲の環境や他の生物との関係まで含みます。
栽培植物でも同じです。鉢の大きさ、用土中の空気、水分、室内の風、窓から入る光などが、その植物の生活環境をつくっています。
観察してみよう
身近な植物を一つ選び、七日間、ほぼ同じ位置から写真を撮ります。新しい葉、葉の角度、茎の向き、用土の乾き方を記録してください。「変わったこと」と「変わらなかったこと」を分けて書くのがポイントです。
この章のまとめ
- 植物は光、空気、水、無機養分を利用して生きる
- 光合成と呼吸は異なる働きであり、どちらも必要である
- 植物は移動する代わりに、成長の方向や体のつくりを変えて環境へ応答する
- 植物を理解するには、時間の変化と周囲との関係を見る
次は、植物の体を構成する部分を見ていきます。