植物の形には、光を受ける、水を保つ、体を支える、食害を避ける、花粉や種子を運ぶなど、さまざまな働きが関係します。ただし、目立つ形を見つけて、すぐ一つの機能だけに結びつけないことが重要です。
この章で学ぶこと
- 形を機能と結びつけて考える方法
- 一つの形が複数の働きを持つ可能性
- 適応について断定しすぎない観察
葉の形は光と水の交換に関わる
広く薄い葉は光を受ける面積を広げやすい一方、水を失う面も大きくなります。厚い葉や小さな葉は、乾燥する環境で水を保持するうえで有利な場合があります。葉の表面の毛や粉状の被覆は、強い光、温度、水分損失などと関係することがあります。
しかし、同じ環境にすべての植物が同じ形で対応するわけではありません。葉を厚くする植物もあれば、乾季に葉を落とす植物、地下器官へ蓄える植物もあります。
棘や毛の役割は一つではない
棘は動物による食害を減らす働きを持つことがあります。株の周囲に影をつくる、空気の流れに影響する、他の植物へ引っかかるなど、別の働きが関係する場合もあります。
毛も、表面温度、水滴、虫、種子散布など複数の現象に関わります。「この形は必ずこのため」と決めず、どの器官に由来し、いつ、どこに現れるかを見ます。
花の形は運び手との関係を示す
花の色、香り、形、開く時間は、花粉を運ぶ動物や風との関係を持ちます。筒状の花、足場になる花弁、夜に強く香る花などには、特定の送粉様式との対応が見られることがあります。
ただし、現在訪れている動物が、その花の進化に最も重要だったとは限りません。一度の観察だけで関係を断定せず、繰り返しや複数の情報を確認します。
形には歴史と制約もある
すべての特徴が、現在の環境に対する最適解として生じたわけではありません。祖先から受け継いだ体のつくり、発生上の制約、他の特徴との関係もあります。
「役に立つから存在する」とだけ考えると、進化を目的のある設計のように誤解します。変異のうち、ある環境で生存や繁殖に関係したものが世代を通じて残る、という順序で考えます。
観察してみよう
気になる形を一つ選び、まず形態だけを五項目記述します。その後、考えられる働きを三つ挙げ、それぞれを確かめるには何を観察すればよいかを書きます。
この章のまとめ
- 植物の形は、光、水、支持、防御、繁殖などの働きと関係する
- 一つの形が複数の働きを持つ場合がある
- 同じ環境へ異なる形で対応する植物もいる
- 現在の機能だけでなく、進化の歴史と制約を考える