植物の葉から水が水蒸気として失われることを蒸散といいます。蒸散は、水や無機養分の移動や葉温の調節に関係します。温度、湿度、風は蒸散の速さを変え、光や水やりの意味にも影響します。
この章で学ぶこと
- 昼夜の温度と植物の活動
- 湿度と蒸散の関係
- 風通しと強風を区別すること
温度は代謝の速さと限界に関わる
植物の酵素反応や成長には、それぞれ働きやすい温度範囲があります。低すぎると活動が遅くなり、高すぎると呼吸による消耗や組織の損傷が増えます。好適な範囲は植物の種類と成長段階によって異なります。
日中の室温だけでなく、夜間の最低温度、葉や鉢が受ける局所的な温度を見ることが重要です。窓際は夜に冷え、晴天の日中には高温になることがあります。鉢内の根は、地上部とは異なる温度変化を受けます。
湿度は水の失われやすさを変える
空気が乾燥していると、一般に葉から水が失われやすくなります。湿度が高いと蒸散は抑えられますが、空気が停滞し、葉が長くぬれた状態では、一部の病気が広がりやすくなる場合があります。
「湿度を好む植物」を、用土を常に過湿にすることと混同してはいけません。空気中の湿度と、根の周囲の水分は別の条件です。
風は境界層を動かす
葉の表面には、動きの少ない薄い空気の層があります。風はこの層を動かし、気体交換、蒸散、葉温に影響します。穏やかな空気の動きは、葉や用土の乾燥を均一にしやすくします。
ただし、強い乾いた風は水分を急速に奪い、葉や新芽を傷めます。送風機を使う場合も、狭い範囲へ強い風を当て続けるのではなく、空間全体の空気を緩やかに動かすことを考えます。
条件の組み合わせを見る
高温、強光、乾燥、強風が重なると、根から吸収する量より葉から失う水が多くなりやすくなります。一方、低温、弱光、高湿度、無風では、用土が乾きにくく、根の活動も弱まる可能性があります。
症状を見たときに「湿度だけ」「温度だけ」を直すのではなく、同時に変化した条件を確認します。
実践してみよう
植物の置き場所で、朝、昼、夜の温度と湿度を三日間記録します。窓を開けた日、冷暖房を使った日、雨の日の違いも書き添えます。数値が測れない場合は、結露、用土の乾き、空気の動きを観察します。
この章のまとめ
- 温度は植物の活動速度と生存できる範囲に関わる
- 空気の湿度と用土の水分は分けて考える
- 穏やかな風と、植物を乾燥・損傷させる強風は異なる
- 温度、湿度、風、光、水は組み合わせて判断する