「珍しい植物」という表現には、複数の意味が含まれます。野生で個体数が少ない、分布が狭い、栽培株の流通量が少ない、特定の特徴が現れにくいなど、理由は同じではありません。価格も、それらをそのまま表す数値ではありません。
この章で学ぶこと
- 希少性の異なる意味
- 市場価格が変動する要因
- 自分にとっての価値を市場評価から分けること
野生での希少性
分布域が狭い、個体数が少ない、生育地が減少しているなど、野生集団の状態に関わる希少性があります。これは保全上の重要性と結びつきますが、栽培市場で高価かどうかとは一致しません。
野生で希少でも、適法に増殖された栽培株が広く流通している場合があります。反対に、野生では広く見られても、園芸市場へほとんど供給されない植物もあります。
流通上の希少性
繁殖に時間がかかる、種子が得にくい、生産者が少ない、一時的に需要が集中しているなどの理由で、流通量が少なくなることがあります。この希少性は、生産技術、輸入、流行によって比較的短期間に変わります。
「限定」「希少」という販売表現だけでは、何が少ないのか分かりません。種、クローン、特徴、供給時期のどれを指すかを確認します。
個体の特徴に関する希少性
斑の入り方、棘、色、枝分かれなど、特定の特徴を持つ個体が少ない場合があります。ただし、特徴が環境で変わるのか、遺伝的に維持されるのか、クローンでのみ保たれるのかによって意味が異なります。
一枚の写真で際立つ特徴と、長く育てても維持される特徴を分けて考えます。
価格は市場の条件で変わる
価格には、生産期間、設備、輸送、株の大きさ、状態、来歴、需要、販売方法などが反映されます。高価であることが、野生で希少、分類上重要、育てやすい、将来値上がりすることを保証するわけではありません。
投資対象としてではなく植物として入手するなら、価格が下がっても育てたいかを考えると、自分の価値基準が見えます。
自分の価値を言葉にする
長く育てた時間、初めて開花した経験、知人から譲り受けた来歴など、市場価格で測れない価値があります。コレクションの成熟は、高価な株が増えることだけではありません。
考えてみよう
欲しい植物を一つ選び、「野生での希少性」「流通量」「個体の特徴」「価格の理由」「自分が欲しい理由」を別々に書きます。情報がない項目は、確認すべき問いとして残します。
この章のまとめ
- 野生、流通、個体特徴の希少性は異なる
- 市場価格は、生産、供給、需要、状態など多くの条件で変わる
- 高価格は、保全価値や将来価値を保証しない
- 自分にとっての価値を、市場評価と分けて考える